『最上川の秋』


905/10000  2021  10月 28 日
毎週木曜日は、◆子供らに寄せて
今日は、思い出されることがあって
私の来し方を振り返ってみましょう


この年になると、よく覚えていて思い出すのは
生まれ育った大石田のことばかりです。
山形県の内陸部、最上川の中流域の小さな町です。
一学年は2クラス、一クラス50人以上でした。

思いだすことの中で 一番最初に来るのはなんといっても最上川です。
前にも書いたことがあるような気がします。

家の向かいには家がなくて、林になっていました。
生えていたのは、杉の木が多かった気がします。
風が吹いた後は
炭俵を持って杉の落ち葉を拾いに行きました。
囲炉裏と竈の焚きつけ用です。


ミズキが一本あって、小正月の団子さし(繭玉飾り)のときに
枝を切りに行きます。


初夏にはキリの木の花が咲きます。
あの匂い、懐かしい。
ここ十勝には桐の木がありません。


櫨木(はせぎ)にかけられた稲が秋の光を浴びていました。
櫨木はずいぶんと高かった、5段はありました。
杉の木も支柱になっていました。
稲束に赤とんぼが飛び交っていて、一緒に遊びました。

安心して遊んでいた私たちは暮らし全体が部落の大人たちと
地域共同体にまもられていた、(うまく言えません)
その空気が秋のあたたかな日差しとともに甦ってきます。

秋になるとスギモダシというきのこが、杉の木のあたりに出てきました。
味噌汁に入れたと思います。

柿の木が一本、『きざわし』でした。
きざわし、とは、聞いたことがありますか?
さわさなくても、木になったままで甘い柿です。
さわす、とは渋を抜くことです。
そのシャキシャキとした歯触り、黒いゴマの斑が入っていて。


友達から 送られてきた横浜のおじいちゃんの庭の柿の実を
頂きました。
これがきざわし! 大石田以来初めてです。
しかも大きくて立派で甘みも十分、
最上川岸のきざわしは甘みはそんなでもありませんでした。


芋名月と栗名月があり、川岸にススキを取りに行きました。
芋は山形ですから里芋です。それを塩ゆでにしたのを盆にのせて
ひさしにお供えするのです。私は里芋の塩煮が妙に好きです。

9月には、芋煮会、これは学校行事で町はずれの下川原まで歩いていきます。
遠く感じました。
材料、薪、鍋はクラスごとに手分けして持って行ったと思います。

小学4年の時かな、自分の思っていたことと違っていたので。
芋煮会で癇癪を起したことがありました。



西には黒滝山、そのかなたに鳥海山、南には甑岳、南西に大高根山、その奥に月山、
出羽の国はそのほとんどが最上川の流域です。

川端部落の最上川の川岸に座って
秋の光の中でひななぼっこをしているシーンを
思い描いてあたたかな懐かしい気持ちになります。
今では堤防の真下になっています。

ざっとこんな感じでした。